Issue|計画のはじまり
本計画は、先々代から受け継がれてきた敷地の更新から始まった。
間口9m×奥行30mの細長い敷地には、母屋と賃貸住宅が建ち、世代交代とともに建替えが繰り返されてきた。
間口9m×奥行30mの細長い敷地には、母屋と賃貸住宅が建ち、世代交代とともに建替えが繰り返されてきた。
空き家となった住居を賃貸住宅へ建替えるにあたり、単なる収益化ではなく、かつて同一敷地内で育まれていた母屋と子世帯の関係性をどのように次世代へ継承できるかが問われた。
敷地内で生まれていた特別な距離感とつながりを尊重し、それを現代の都市型住宅として再編集することを計画の出発点とした。
Context|敷地固有性
計画地は、商店街や集合住宅が集積する品川区西中延の住宅密集地に位置する。
敷地は2方向の道路に接しながらも、周囲を建物に囲まれ、採光・通風の確保が課題となる環境にあった。
敷地は2方向の道路に接しながらも、周囲を建物に囲まれ、採光・通風の確保が課題となる環境にあった。
間口9m×奥行30mという細長い形状は、2棟の建築が成立するポテンシャルを持ちながら、単純なボリューム配置では環境性能とプライバシー確保の両立が難しい条件でもあった。
この都市特有の高密度条件と敷地形状を制約ではなく資源と捉え、空間構成の起点として読み解いた。
Concept|設計思想
敷地内で育まれてきた関係性を、建築として編み直す。
かつて同一敷地内に存在した母屋と子世帯の距離感には、隣家とは異なる固有の関係性があった。
本計画では、その「敷地内で生まれる関係性」を空間的に継承することを主題とした。
建物を単体の集合としてではなく、アプローチ・中庭・テラスを介してゆるやかにつながる群として構成することで、都市型賃貸住宅でありながら、敷地内コミュニティが育まれる環境の再構築を試みている。
Design Strategy|設計への工夫
配置計画|ずらし配置による関係性創出
3×5グリッドを基準に建物ボリュームを立体的にずらして配置。
道路から母屋へと光と風が抜けるアプローチと中庭を創出し、敷地内に新たな共有空間を生み出した。
道路から母屋へと光と風が抜けるアプローチと中庭を創出し、敷地内に新たな共有空間を生み出した。
環境計画|採光・通風・プライバシーの両立
ボリュームをずらすことで界壁・界床を最小化し、開口部の視線交錯を回避。
採光・通風・眺望・遮音性を確保しながら、各住戸の独立性を高めている。
採光・通風・眺望・遮音性を確保しながら、各住戸の独立性を高めている。
住戸構成|ライフステージに応じた4住戸
住戸規模はA:35㎡ B:30㎡C:50㎡D:40㎡とし、周辺市場分析と不動産コンサルティングを計画初期から導入。
ターゲット設定とキャッシュフローを整理し、事業性と個別性を両立した。
ターゲット設定とキャッシュフローを整理し、事業性と個別性を両立した。
土間空間|多様な暮らしの基点
玄関を兼ねた土間をアプローチ側へ開放。
大開口を設けることで、SOHO / アトリエ / 趣味室など、居住+活動の多様な生活スタイルに対応する可変空間とした。
大開口を設けることで、SOHO / アトリエ / 趣味室など、居住+活動の多様な生活スタイルに対応する可変空間とした。
素材計画|経年変化を価値へ
内装には無垢床、塗装壁、ラワン建具を採用。
外装は色違い板金と木張りを組み合わせ、時間とともに風合いが増す素材で構成した。
テラスや土間、開放的な天井高と呼応し、長期にわたり愛着を持って住み継がれる賃貸住宅を目指している。
外装は色違い板金と木張りを組み合わせ、時間とともに風合いが増す素材で構成した。
テラスや土間、開放的な天井高と呼応し、長期にわたり愛着を持って住み継がれる賃貸住宅を目指している。
■設計概要
・所在地:東京都品川区
・用 途:共同住宅(長屋)
・意匠設計:合同会社kanap / 幸地俊一、成田佑弥
・構造設計:Atled構造設計室 / 小倉 直幸
・施 工:湘栄建設
・不動産コンサルティング:創造系不動産 / 山岸亮太、倉本琢
・所在地:東京都品川区
・用 途:共同住宅(長屋)
・意匠設計:合同会社kanap / 幸地俊一、成田佑弥
・構造設計:Atled構造設計室 / 小倉 直幸
・施 工:湘栄建設
・不動産コンサルティング:創造系不動産 / 山岸亮太、倉本琢
・構造規模:木造 地上3階建
・敷地面積:142.38㎡
・建築面積: 94.27㎡
・延床面積:189.66㎡
・設計:2022年10月~2023年8月
・工事:2023年8月~2024年3月
・竣工:2024年3月
・敷地面積:142.38㎡
・建築面積: 94.27㎡
・延床面積:189.66㎡
・設計:2022年10月~2023年8月
・工事:2023年8月~2024年3月
・竣工:2024年3月